研究主題  「自然に親しみ、 共に 豊かな学びを創り続ける 子どもの育成」

主題について 
 日本は今、『サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社 会的課題の解決を両立する、新たな未来社会(Society5.0)』に向け、劇的な変化の時を迎えている。その中で人間 らしく豊かに生きていくために、共通して求められる力として、①文章や情報を正確に読み解き、対話する力、② 科学的に思考・吟味し活用する力、③価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力が必要だと指摘されている (Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会/2018.6.5)。
 ここに挙げられたSociety5.0に求められる三つの力は「好奇心・探求心を原動力に感性を発揮して自然事象に働 きかけ、その変化を正確に読み取り、読み取った情報から思考を働かせ結論を導く」科学の手法に必要な力と合致 する。このことから、科学の手法を用いて問題解決をする理科教育の重要性は今後ますます高まっていくだろう。
 また、令和2年からの新型コロナウイルスの世界的な流行により、学校においてはGIGAスクール構想の実現 が前倒しされ、早急な指導の工夫が求められるようになった。そして、私たちは「困難な状況に面したとき、どう 乗り越えていくか」、自らの問題解決能力を問われることとなった。予測困難な時代にあって、事実を基に他者と協 働して問題を解決し、未来を切り拓いていく資質・能力の育成のためにも、理科学習の担う役割は大きいと言える。
  学習指導要領で示された理科の教科の目標は、「問題を科学的に解決するために必要な資質・能力を育成する。」 ことである。また、資質・能力の三つの柱として、「より深い知識・科学的な探究や問題解決に必要な技能」、「未知 の状況にも対応できる科学的な探究能力や問題解決能力などの思考力・判断力・表現力」、「獲得した力を活用しな がら、生活や社会に生かそうと主体的に探究しようとしたり新たに問題解決しようとしたりする態度」を、バランスよく育成することが求められている。
  このような状況の中、本研究会ではこれまで、「自然に親しみ、豊かな学びを創る子どもの育成」を研究主題に設 定し、子ども主体の問題解決の活動を通して思考力・判断力・表現力を育成することに焦点をあて、研究をすすめ てきた。近年は、「子どもが見方・考え方を働かせやすくする」ことと「子どもの資質・能力を育成する」ことを関 連付けて、問題解決の活動の充実をはかってきた。 今年度は、これまでの研究を継承・発展させながら、「他者と協働して、よりよい未来を創りだしていくために学 び続ける」子どもの姿をめざし、研究主題「自然に親しみ、共に豊かな学びを創り続ける子どもの育成」を設定し、 研究を進めていくこととした。

(1)「自然に親しむ」とは
  「自然に親しむ」とは、子どもが関心や意欲をもって、自然にかかわりながら問題解決していくことである。 特に、「問題を見いだす」場面や「観察・実験」の場面では、子どもが体験活動を通して主体的に学んでいく姿を めざしていく。実体験を通して「自然を愛し、大切にしていく」という感性を醸成するだけでなく、自然現象が 原因となり、大きな被害をもたらすこともあることから、防災、気候変動について関心をもてるようにする。学 習を通して、自然事象に対する感動、驚き、疑問、畏怖などを抱くことで、将来に渡って自然に親しみ、自然と 共存しながら生きようとする「持続可能な社会の創り手(ESDやSDGs等につながる)」としての心情や態度を 育んでいく。
(2)「共に豊かな学びを創り続ける」とは
  「共に豊かな学びを創り続ける」とは、これまでの研究で大切にしてきた「豊かな自然観」や「子どものよさ や可能性」をもとに、子ども自らが自然の事物・現象の中から問題を見いだし、主体的に解決していく過程であ る。子どもたちに「主体的に学ぶ力」を育てていくことは、将来に渡って「学び続ける姿」へとつながる。授業 では、問題解決活動の各過程で、あらかじめ個人で考えをまとめ、その後、意見交換や根拠を基にした対話を行 うことにより、個の問題解決能力を高め、さらに他者と協働・調整して問題解決に取り組むようにする。このこ とで、友達と共に学びを創りだし、自ら探究の過程を創り続けることができる子どもの姿をめざす。

研究内容と方法

 子どもの主体的・対話的で深い学びを視点とした授業改善と、子どもの資質・能力を育む理科教育の在り方 について、各部会の特徴を生かし、授業実践を通して追究していくことを研究内容とする。単元を構想する際 は、子どもたちが実生活や既習事項などを基に、新たに出合う自然の事物・現象から自ら問題を見いだし、根 拠のある予想や仮説を基にした観察・実験を構想し、実験結果を多面的にとらえて考察を行うことで、より妥 当な考えを創りだすことを大切にしていく。学年・専門部会では、子どもが自ら問題を見いだし、主体的に問 題解決の活動ができるように、次のような視点をもち、単元の構想を行うようにする。研究の成果は、子ども がどう取り組み、どう変わったかを、子どもの姿で伝える。
 学年・専門部会では、子どもが自ら 問題 を見いだ し、主体的に問題解決の活動 ができるように 、 次のような視点をもち 、単元の構想を行うようにする。研究の成果は、子どもがどう取り組み、どう変わったかを、子どもの姿で伝えるようにする。

 研究の視点

①重点的に研究する単元・関連する単元について
 ○ 学習中に「資質・能力」を身に付けている子どもの姿。
 ○ その単元や各時間において、「見方・考え方」を働かせている子どもの姿。*1
 ○ 学習後、育てたい「資質・能力」が身に付いた子どもの姿。
②単元と授業の手立ての構想
 ○ 事前の子どもの状況の把握と変容の検証。*2
 ○ 子どもが主体となり問題解決を進めていく、子どもの思考に沿った導入と展開の工夫。
 ○ 個々の問題解決の力を高め、対話を通して協働的に学びを深めていくための言語活動や観察・実験の工夫。 *3

*1:見方:専門部会、考え方:学年部会の研究の主たるものとしつつ、資質・能力を育むための方策を検討
*2:概念・経験調査、記録の分析の視点、事後質問紙等による
*3:表やグラフ、絵(イメージ図等)などを活用して科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりする場面づくり、子どもが構想できる